近年では各業界でICTシステムの採用が進み、業務効率化のためのツールとして役立っています。保育園・幼稚園でも積極的に取り入れられており、日常業務はもちろん、災害や緊急時にもスムーズな連絡が実現することで注目されています。今回は、保育業界におけるICTシステムの導入メリットなどを解説するため、ぜひ参考にしてください。
保育園や幼稚園における従来の緊急連絡と安否確認
保育園や幼稚園の緊急連絡・安否確認などは、従来までは一斉送信メールや電話にて実施されていました。
以下では、各場面において採用されていた連絡方法について解説します。
休園のお知らせは一斉送信メールで対応可能
日本は地震や台風などの災害が多いため、警報の発令などで保育園・幼稚園が臨時で休園となるケースも少なくありません。前日の夜や早朝の時点で警報が発令されるほどの災害であれば、クラスごとの緊急連絡網を利用したり、緊急お知らせメールを一斉送信したりすることで、休園かどうかをお知らせしていました。
登園後に災害が発生した場合は電話回線のパンクが起こる可能性も
従来までの緊急連絡・安否確認で問題となるのは、子どもが登園した後に災害が発生した場合です。保育園や幼稚園で過ごしている間に地震・台風などが起こったら、施設の状況や園児の安否、お迎え要請の有無などを個別に伝えなければなりません。
また、災害の規模が大きければ、保護者側から子どもの安否を確認する連絡が入る可能性もある上、電話回線のパンクによって保護者と連絡が取れなくなるケースも考えられます。
さらに、災害の規模が小さく電話回線のパンクなどが発生していない場合でも、保護者側のスマホのバッテリー切れや電話番号相違などでお迎え要請の電話がつながらないといったトラブルも少なくありません。
保育ICTシステムの緊急連絡・安否確認機能
最近では、保育園や幼稚園で保育ICTシステムを導入し、緊急連絡・安否確認にも役立てているケースが多いです。
以下では、保育ICTシステムの概要と緊急連絡・安否確認の具体的な機能について詳しく解説します。
保育ICTシステムとは
保育ICTシステムとは、保育園や幼稚園の事務処理などを効率化するために開発されたシステムです。園児情報の管理や保育士の勤怠管理、保育日誌の作成などの内部業務はもちろん、保護者とのコミュニケーションを取る方法としても役立てられます。
最近では、ICTシステムの導入によって、園児の欠席連絡や預かり保育の利用登録、保育園・幼稚園側からのお知らせ配信などにタブレット・アプリを使用している施設が増えています。
緊急連絡・安否確認機能の概要
保育ICTシステムを導入すれば、災害時の欠席・お迎え連絡などをシステムを通してやりとりすることが可能です。連絡手段にはメールやSMS、プッシュ通知、緊急掲示板などが用意されています。すぐに目を通してほしい情報はプッシュ通知を利用し、詳しい内容を緊急掲示板に掲載するなど、伝えたい情報の種類に合わせて最適な連絡手段を選択できます。
また、システムを介した情報伝達や保護者とのやりとりは、担任だけでなく全スタッフがチェック可能です。先述した電話の回線パンクのような不安がないため、緊急時にもスムーズに保護者とつながれる点が大きなメリットとなります。
災害時の情報共有と連絡網の構築にこそICTシステムがおすすめ
保育ICTシステムは、欠席連絡や日誌作成のような日々の事務処理に役立つというイメージが強いですが、災害時の情報共有や緊急連絡にこそおすすめのツールです。
地震や台風などの災害が起こった際、保育現場が混乱するのは「誰が帰宅したのか」「誰が欠席するのか」「誰がお迎えに来るのか」といった情報の共有がうまくいかないためです。保育ICTシステムを利用すれば、システムにログインすることですべての情報を確認できるため、情報共有の手間やミスがなくなります。また、緊急時にクラス担任が不在の場合でも対応できるのが魅力です。
さらに、従来までの電話連絡では、電話を受けた保育士は電話口の保護者の対応に時間を取られてしまいますが、保育ICTシステムであれば保育士側のアクションなく保護者からの連絡を受け取れるため、現場の人員確保にもつながります。
災害時は、子どもたちの安全確保が保育士にとってもっとも重要な業務です。ICTシステムの導入により連絡業務の効率化が実現すれば、子どもたちの安全確保により多くの人員をあてられるでしょう。
まとめ
今回は、保育ICTシステムの災害時における活用方法やメリットなどを詳しく解説しました。従来までは、災害時の緊急連絡と安否確認は電話・メールにて行われるのが一般的でしたが、最近では保育ICTシステムを利用したプッシュ通知や緊急掲示板などを通して情報提供するケースが増えています。
保育ICTシステムの導入によって電話回線パンクの影響を受けずにスムーズな情報伝達が可能となるのはもちろん、電話口の保護者対応がなくなることで、子どもたちの安全確保に専念できる保育士の人数が増えるといったメリットもあります。保育ICTシステムは日常業務の効率化が注目されがちですが、災害時にも役立つツールです。保育ICTシステムの導入を検討している人は、今回の記事をぜひ参考にしてください。