ICTシステムの導入に減価償却が適用されるか分からない人も多いのではないでしょうか。実は減価償却が適用されるケースとされないケースがあります。システムの導入は業務効率化が見込める一方でコストも大きいです。減価償却を知らない人でも保育園システム・幼稚園システムを導入するときに役立つ情報をまとめました。
減価償却とはどのようなものなのか
事業のために使う建物、備品、車両などの資産は時の経過などによって価値が減ります。減価償却とは資産を取得したときに全額経費計上するのではなく、使用可能な期間で分割して費用計上する会計処理方法です。償却方法は3種類あります。
毎年同じ額だけ減価償却をする「定額法」、毎年同じ率で減価償却をする「定率法」、使用割合に応じて減価償却をする「生産高比例法」です。償却方法は資産ごとに異なります。建物や備品など形のある資産はもちろんソフトウェアのように形がない無形固定資産も減価償却の対象です。無形固定資産は定額法を適用して一定期間にわたり費用を計上します。
保育ICTシステムに減価償却が適用されるケースとは
減価償却は導入するすべてのシステムに適用できるわけではありません。システムの金額やサービスによって変わります。減価償却を適用するときに気をつける点をまとめました。知らずに導入して後悔しないようポイントを押さえて、自社にぴったりのシステムを調べてみましょう。
クラウド型とインストール型
減価償却が適用されるケースはインストール型です。システムを分類すると大きく2つに分類できます。Webブラウザでオンライン上のサーバーを通して利用するクラウド型、パッケージやダウンロード購入をするインストール型です。インストール型は購入したソフトウェアの所有権が購入者になるため資産計上します。
クラウド型はサービス本体の保有元は提供会社のままなので資産計上ができません。自社の資産が増えるわけではなく、あくまでサービスを利用するだけです。減価償却の対象にはならないためシステム利用料として全額経費計上する必要があります。
金額と期間
減価償却が適用できる条件は、使用期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上の場合です。ソフトウェアは1年以上使用できますが、時間の経過により情報の価値が失われます。取得したソフトウェアは耐用年数に応じて費用化が必要です。
減価償却の処理方法は金額により特例を利用できます。中小企業が取得価額30万円未満の資産を導入した場合に適用できるのが「少額減価償却資産の特例」です。1会計期間で合計額300万円を限度として全額損金扱いできます。取得価額が10万円以上20万円未満の資産を取得した場合に使える特例が「一括償却資産」です。
取得価額を今後3年にわたり合計額3分の1の金額を費用計上します。10万円未満であれば「消耗品費」など経費の科目で計上しなければなりません。条件を確認して賢く制度を利用する必要があります。なお、取得価額は導入にあたって必要とする設定作業や修正作業も含まれることを忘れてはいけません。
保育ICTシステムを導入する際の注意点
ICTシステム導入する際は減価償却以外にも気をつけることがあります。目的に応じたシステム選びや運用方法も大事です。しかし使用する端末機器も減価償却ができる場合があります。自治体からの補助金の有無も確認しましょう。後悔しないように事前リサーチがおすすめです。
使用環境
システム単体では使用ができません。システムを利用するためにはPC・タブレット・スマートフォンなどの端末機器と通信環境が必要不可欠です。PCが1台を複数名で共有すると待ち時間が発生するので複数台なければいけません。動き回ることが多い人であれば、すきま時間で入力ができるスマートフォンやタブレットが便利です。端末機器購入金額が10万円以上であれば、減価償却を利用できる可能性があります。レンタルができる企業もあるので予算に応じて利用しましょう。
補助金
ICTシステム導入により補助金がでる可能性があります。業務のICT化などを行うためのシステム導入のほか、自治体が実施する研修を在宅受講するために必要なシステム整備や教材費用も補助金の対象です。認可保育所だけではなく、認可外保育施設でも申請ができるので、システム導入前に足踏みをしていた施設も補助金の検討を行うことをおすすめします。補助金を受けるには自治体へ申請が必要です。
まとめ
ICTシステムとして導入したものすべてが減価償却できるわけではありません。システムの金額やサービスによって変わります。減価償却ができるのはインストール型で金額が10万円以上の場合です。減価償却の償却方法は金額によって「少額減価償却資産の特例」「一括償却資産」の特例を適用できます。ソフトウェアだけではなく、システムを使うのに必要な端末機器を購入した場合も減価償却ができるので確認が必要です。自治体からの補助金もあるため、今まで導入をためらっていた施設も導入がしやすい環境になりました。今ある制度を最大限に活かして、賢く保育園システム・幼稚園システムの導入をしましょう。