保育園・幼稚園システムで欠かせないのが児童台帳であり、保育活動するうえで重要な書類のひとつになります。ただ書類の作成には時間と手間がかかるのも事実で、業務に負担が生じていることも少なくありません。そこで注目してほしいのが、ICTシステムです。この記事では、園の書類作成にICTシステムを活用するメリットを紹介します。
保育園・幼稚園での保育活動に必要な「児童台帳」とは
児童台帳とは、保育園に在籍する子ども一人ひとりの家族情報や緊急連絡先、成長過程、健康状況、保育過程などを記録する書類のことです。保育の提供内容に反映させるのはもちろん、年度末のクラス替えにも活用されるもので、小学校などへの進級の際に次の担任に引き継ぐといった役割もあります。
児童台帳の書式は園によって若干異なっていますが、基本的な項目は、身体測定の結果・保育経過記録・在籍に必要な記録・健康記録です。保育経過記録では、遊び、運動・言語・表現力の発達、生活習慣能力、人間関係などが記載され、健康記録では登園状況、持病や罹患歴、体質的特徴、予防接種記録などが掲載されるのです。以下に、児童台帳に記入する項目の中でもとくに重要なものを3つ紹介します。
情緒や人間関係
喜怒哀楽の表現は、児童によって大きく異なります。児童の特徴をしっかりと把握するためにもどんなときにどんな反応をしたかなど、エピソードを含めて児童台帳に記入します。また、日頃からの表情や仕草もよく観察し、それらの内容も記します。
身体と運動能力
身体測定結果だけを記録するのではなく、身体の使い方も記録するのが児童台帳です。たとえば体を大きく使う粗大運動だけではなく、指先を使う微細運動も合わせて記します。
生活習慣
排泄や手洗い、さらには着替えや排泄といった生活習慣についても記されるのが一般的です。自らやろうとする意思があるのか、それとも促されないと始めないのか、といったことも記入します。
児童台帳に記録をする際の注意点
児童台帳はさまざまな情報を記載するもので、しかも今後の保育方針にも関わります。つまり、記録する際には慎重にならなければならないことも多く、いくつもの注意点があるのです。こちらでは、児童台帳に記録する際の注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
保育メモには具体性を持たせること
児童一人ひとりの情報を、読み返したときに理解できるよう、具体性を持たせて記入すべきです。あまりに簡易的にすると、どのような状況でその事象が発生したのか理解できない恐れがあるからです。保護者より何故怪我をしたのか問われても、保育メモが「膝を怪我した」のみであれば、保護者により具体的な説明ができません。「管理ができていない」とお叱りを受けることにもなりかねないので、保育メモは一つひとつの出来事に対し、前後の脈絡も含めて総合的に記入すべきです。
正しい情報を記入する
児童台帳にはさまざまな情報が記録されているため、情報がごちゃごちゃしてしまうと内容が理解できません。したがって、作成時には後時および脱字がないように注意してください。書き終わったあとに読み返してみて、何かしら誤りがないかを確認するのもおすすめです。自分ひとりで納得しているだけでは不安なので、周囲の人に確認してもらうのもよいでしょう。情報の記入でとくに重要なのが、電話番号です。児童に何かあった場合に、すぐに保護者に連絡がとれるように電話番号に関しては不備がないように何度も確認してください。
書く頻度にも注意
児童台帳は定期的に更新していくものです。したがって、1年に1回や2回の記入では少なすぎます。できればイベントごとに記入したり、毎月記入したりしてください。いつでも児童の最新の情報が確認できるようにしましょう。
児童台帳の記録にICTシステムを活用するメリットとは
児童台帳の記録にICTシステムを活用と、以下の3つのメリットを享受できます。
職員間の情報共有に役立つ
職員間で児童たちの様子を伝える際は、メモを利用したり言葉で伝えたりする程度に留めるケースが多いです。しかし、メモを紛失したり、聞いたものを忘れてしまったりすることもあるでしょう。一方で、ICTシステムであれば保育メモ機能が備わっており、文章が入力されると画面上で共有されるのでいつでも確認できます。
省スペースで対応可能
児童台帳を上でファイリングしているケースも少なくありません。学年やクラスごとに管理するとなると膨大な量になり、収納する場所に困るケースも多いです。その点、ICTシステムであればファイリングする必要もありません。パソコンやタブレット管理となり、しかもクラス別に管理できる機能が備わったものもあります。
情報の管理が楽になる
児童台帳の内容は、定期的に変更されます。引っ越しで電話番号が変わることもあるでしょう。紙で児童台帳を管理していると、修正液を使って書き直すなどの手間もかかります。一方でICTシステムは、パソコンやタブレット上から簡単に情報の変更が可能です。つまり、入力・修正業務が簡略化されるのです。
まとめ
保育活動で欠かせない「児童台帳」は、児童の管理に役立つもので、正確な情報を記入する必要があります。しかし、管理が難しく情報の更新にも手間がかかります。そこでおすすめなのが、紙からICTシステムへの移行です。ICTシステムに移行することで、パソコンおよびタブレットから簡単に情報にアクセスできるようになり、情報の修正や変更もお手の物です。児童台帳の作成に悩んでいる園は、ICTシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。