保育園・幼稚園のアナログ作業がもたらす悪影響とは

公開日:2025/12/15

アナログ 悪影響保育園・幼稚園の業務が多忙を極める中、ICTを活用した業務の効率化が急務とされています。しかし、多くの施設が手書きのアナログ作業から脱却できていないのが実情です。そこで今回は、保育園・幼稚園でアナログ作業が多い理由やその弊害、脱アナログの方法までまとめて解説します。

保育園・幼稚園でアナログ作業が多い理由

保育園や幼稚園では、日々の業務や事務作業の多くを手書きや手作業で行う、いわゆるアナログな方法がいまだに広く用いられています。その背景には、保育士自身がパソコン操作やデジタル管理に慣れていないことや、園自体に十分なインターネット環境が整っていないことなどが挙げられます。そのため、書類作成や記録管理などが紙や手作業中心で行われる傾向が続いているのです。

しかし、アナログな方法には一概に不便なだけでなく、職員が空いた時間に手軽に作業を進めやすい点や、手作業ならではの温かみや丁寧さが伝わりやすい点といったメリットもあります。このように、デジタル化が進む現代においても、アナログな手法が根強く残っているのは、単に技術的な課題だけでなく、保育現場での実務や人間関係の面でも一定の価値を持っているからだと考えられます。

アナログ作業がもたらす弊害

保育園や幼稚園におけるアナログ作業や手作業には一定のメリットがある一方で、業務上の弊害も少なくありません。

業務効率・保育の質に悪影響

まず、保育士は日々の保育業務に加えて、多くの事務作業を抱えています。園児の連絡帳記入や保育計画の作成、園児や職員の情報管理、行政への提出書類の作成など、手作業で行う業務は非常に多岐にわたります。

アナログ作業は手軽に始められるという利点があるものの、作業に時間と手間がかかるため、子どもと向き合う時間が減少したり、作業が円滑に進まないことで残業が発生するなど、業務の効率や保育の質に影響を及ぼすことがあります。例えば、連絡帳の記入はクラスの人数分を毎日手書きする必要があり、時間がかかるため他の業務に支障をきたすことも少なくありません。

正確なデータ把握が難しい

また、アナログ管理では正確なデータの把握が難しく、ミスや確認漏れが起こりやすい点も課題です。園児の登降園時間や職員の出退勤時間などは、給与計算や保育料算定に直結する重要な情報ですが、手書きやタイムカードによる管理では記入漏れや時間のズレが生じる可能性があります。

このような誤差や確認漏れは、延長保育料金や食事代、バス代、おむつ使用数の集計など、日々の業務全体に影響を及ぼします。特に紙で管理している場合、計算ミスや集計のやり直しが発生すると、修正作業に時間を取られ、保育士の業務負担が増大してしまいやすいです。

見落としやミスに気付きにくい

さらに、アナログ作業は目視による確認が中心となるため、見落としやミスに気付きにくいという点も問題です。園児や職員、保護者に関する膨大な情報を正確に把握することが難しく、業務の透明性や効率性に影響を与えることがあります。その結果、作業時間の増加や負担の偏りが生じ、場合によっては保育士の離職にもつながりかねません

脱アナログには「ICTシステム」がおすすめ

保育園や幼稚園の脱アナログの手段として、ICTシステムの導入が注目されています。保育ICTシステムとは、パソコンやタブレットを活用して事務作業や労務管理をサポートするシステムのことで、従来は紙ベースで行われていた園児情報の管理や保護者への連絡、書類作成などを効率化できる点が特徴です。

これまで保育士に過大な負担をかけていた事務作業は非常に多岐にわたり、書類作成や情報集計、シフト管理、給与計算など、細かい作業を毎日手作業で行う必要がありました。そのため、残業や持ち帰り仕事が発生しやすく、保育の質や働きやすさにも影響を与えることが問題視されていました。こうした背景のもと、国も補助金制度を設け、保育ICTシステムの導入を後押ししています。

書類作成の負担軽減

ICTシステムの導入により、まず書類作成の負担が大幅に軽減されます。保育日誌や指導案などの書類は、テンプレートを利用することで効率的に作成でき、日付や登園日数、気温などの情報も自動で入力される場合があります。

また、ICT上で書類を一括管理できるため、紙の持ち運びや紛失の心配もなくなり、作業のストレスが軽減されることでしょう。さらに、作業の効率化によって残業や持ち帰り仕事を減らすことができ、保育士の働きやすい環境づくりや保育園運営のコスト削減にもつながります。

保護者との連絡がスムーズになる

保護者との連絡もスムーズになります。ICTシステムを活用すれば、一斉配信や個別配信が可能となり、朝の忙しい時間帯に欠席や遅刻の連絡で電話対応をしなくて済みます。保護者にとっても保育士にとっても負担が減り、コミュニケーションが円滑になることでしょう。また、園内での情報共有も容易になり、保育士同士で行事や出欠、意見募集などの情報を簡単に共有できる点も大きなメリットです。

計算ミス・確認漏れが減る

さらに、登降園記録や保育料・預かり料金の集計作業も自動化できます。これにより計算ミスや確認漏れが減り、保育士や保護者の心理的負担も軽減されます。採用活動においても、ICTを活用した業務効率化は魅力的なポイントとなり、優秀な人材を確保するうえで有利に働くことでしょう。

加えて、書類監査における整理・提出の負担も大幅に軽減され、記入漏れのリスクも抑えられるため、準備時間や残業時間の削減にもつながります。

まとめ

保育園や幼稚園では、いまだに手書きや手作業といったアナログ作業が多く、業務効率や保育の質に影響を及ぼす課題が指摘されています。連絡帳や書類作成、登降園・出退勤の管理など、多くの事務作業が手作業で行われるため、作業に時間や手間がかかり、残業や持ち帰り仕事の増加、保育士の負担増につながりやすいのです。さらに、紙での管理は記入漏れや計算ミス、情報の見落としが起こりやすく、業務の透明性や正確性にも影響します。こうした課題を解決する手段として注目されているのがICTシステムの導入です。ICTを活用すれば、書類作成の効率化やデータ集計の自動化、保護者との連絡の簡素化、園内情報の共有が可能になり、残業削減や業務負担軽減につながります。また、採用活動や監査対応でもメリットがあり、保育士の働きやすさや向上に大きく寄与します。

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